エンリコ・オノフリ 古楽器の世界
インフォメーション
緻密な研究と溢れんばかりの音楽性から古楽器界に新たな表現を切り開き、世界中で絶大な評価を得ているエンリコ・オノフリ。このたび本人憧れの地、古都・京都での初のリサイタルを開催します!
17世紀前半のイタリア初期バロック音楽を甦らせ、古典派モーツァルトまでの系譜を紐解くプログラム構成で、音楽の限りない魅力をお伝えします。
公演名 | エンリコ・オノフリ 古楽器の世界 |
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日時 | 2016年11月3日(木・祝) |
会場 | 京都府立府民ホール アルティ |
出演 | エンリコ・オノフリ Enrico Onofri(バロック・ヴァイオリン)
リッカルド・ドーニ Riccardo Doni(チェンバロ) 杉田せつ子 Setsuko Sugita(バロック・ヴァイオリン) |
プログラム |
※曲目・曲順は都合により変更となる可能性がございます。 |
公演当日のおもてなし |
13:00 開場 桝野俊明氏設計の日本庭園をご覧いただけます。 13:30 公演への誘い(プレトーク) トークゲスト:中村孝義氏 (大阪音楽大学名誉教授・理事長) 14:00 本公演
・公演終了後に出演者とも触れ合える交流会を開催!(参加自由、事前予約不要) ・素敵な景品が当たる抽選会を開催!(アンケート回答者対象) |
料金 |
【全席指定・税込】 ※未就学児童の入場はご遠慮ください。 |
チケット取扱 | 京都府立府民ホールアルティ 075-441-1414 京都府立文化芸術会館 075-222-1046 チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:301-068) ローソンチケット 0570-000-777(Lコード:57103) |
チケット発売日 |
アルティメイト優先発売 6月11日(土)10時より 一般発売 6月14日(火)10時より |
お問合せ | 京都府立府民ホール 075-441-1414 (9時~18時/第1・第3月曜日休館) |
主催 | 京都府、創<(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体> |
助成 | 公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション |
後援 |
イタリア文化会館-大阪 |
プロフィール
エンリコ・オノフリ(バロック・ヴァイオリン)
Enrico Onofri
イタリアのラヴェンナ生まれ。14歳よりヴァイオリンを始める。20歳でジョルディ・サヴァールの推薦により氏の主宰するラ・カペラ・レイアルに、同様にニコラウス・アーノンクールの推薦により氏の楽団であるコンツェントゥス・ムジクス・ウィーンに、それぞれの楽団でコンサートマスターとしてのキャリアをスタートさせた。1987年から2010年までイル・ジャルディーノ・アルモニコのソロ・コンサートマスターとして「楽団のエンジン」と称され、鮮やかな演奏で同楽団の躍進を担った。C.バルトッリ、F.ジャルスキー、C.コワンなど一線で活躍する音楽家からの信頼も厚く、共演を重ねている。2002年には指揮者としての活動を開始。2006年から2013年まではリスボンのディヴィーノ・ソスピーロで首席指揮者を務め、2006年からはセヴィッリャ・バロック・オーケストラの首席客演指揮者。カメラータ・ベルン、ルツェルン祝祭弦楽合奏団、バーゼル室内オーケストラ、リヨン国立歌劇場管弦楽団ほか、日本ではオーケストラ・アンサンブル金沢、チパンゴ・コンソートなどを指揮。2000年には自らの団体、イマジナリウム・アンサンブルを創立。これまでにテルデック、デッカ、ナイーヴ、ハルモニアムンディ(独)、パッサカイエ、アンカーレコーズ/日音、ウィンターウィンター、ジグザグなど多数のレーベルからCDが発売され、グラモフォン・アワードやディアパゾンドールなど数々の賞を受賞。
ジュリーアド音楽院でマスータクラスを行うなど後進の指導も行い、ベッリーニ音楽院(パレルモ)で教鞭をとる。近年の日本でのソロリサイタル、並びにチパンゴ・コンソートとの共演公演では常に満員の来場者を迎えての大盛会となり、NHK-TVやFMで放送され、更には多くの音楽誌上で年間のベストコンサートとして選出されるなど大きな話題となった。来年2017年新春には、再びオーケストラ・アンサンブル金沢の日本ツァーでの指揮が予定されている。(Photo K.miura)
リッカルド・ドーニ(チェンバロ)
Riccardo Doni
ミラノに生まれる。パルマ A.ボーイト音楽院にてL.ギエルミに師事。その後、バーゼル、スコラカントールムにてチェンバロ、オルガンをJ.C.ツェーンダーに師事。1994年よりイル・ジャルディーノ・アルモニコの首席チェンバロ・オルガン奏者に就任し、C.バルトリ、ラベック姉妹、O.ダントーネ、V.ムローヴァ、G.カルミニョーラ等と共演。またコレペティトーアとして、多数のオペラ・プロダクションに参加し、指揮者としても1984年より首席指揮者を務める合唱団「ムジカ・ラウダンテスなどと共に数多くの音楽祭、録音に携わっている。2002年より、E.オノフリの主宰するイマジナリウム・アンサンブル」メンバー。2010年より「カノーネ・インヴェルソ」主宰。現在、フェッラーラ音楽院、カステルフランコ・ベネト音楽院にて教鞭をとる。CD録音も多数で、テルデック、デッカ、ロワゾリール、ナイーヴ、ジグザグ、スプラフォン・ストラディヴァリウス、アマデウス、サルクス・レコーズ、アンカーレコーズからリリースされている。
杉田せつ子(バロック・ヴァイオリン)
Setsuko Sugita
東京藝術大学音楽学部器楽科ヴァイオリン専攻を卒業後、ウィーン国立音楽大学に留学。これまでに、田渕洋子、井上武雄、徳永二男、澤和樹、浦川宜也、F.サモヒル、E.オノフリの各氏に師事。日本室内楽コンクール入選、パルマ・ドーロ国際音楽コンクール(伊)最高位入賞。現在はバロック音楽の演奏を活動の中心に置き、オノフリ指揮ディヴィーノ・ソスピーロ(ポルトガル)の多数の公演や録音に参加。オノフリのソロCD「バロック・ヴァイオリンの奥義」ではテレマンのガリヴァー組曲(二重奏)に参加し、フランスのディアパゾン誌上で高い評価を受けた。2007年にオノフリ氏命名の古楽プロジェクト“Cipango Consort(チパンゴ・コンソート)”を立ち上げ、共演を重ね、公演の模様はNHK-TVやFMで放送され、 独奏でもこれまでに各音楽雑誌上で多くの評論家から高い評価を得ている。http://www.setsukosugita.com
公演レポート
ALTI芸術劇場 Vol.30
エンリコ・オノフリ 古楽器の世界
2016年11月3日、京都府公邸の庭のつわぶきが満開を迎えたこの日にALTI芸術劇場Vol.30 「エンリコ・オノフリ 古楽器の世界」が催されました。
プレトークに登壇いただいたのは、大阪音楽大学理事長、名誉教授の中村孝義先生。
古楽とは、18世紀中ごろ以前のバロック・ルネサンス時代に作曲されたものを指します。宮殿のサロンで演奏されていたために、おとなしい音楽と感じられることの多い古楽ですが、「エンリコ・オノフリの演奏は、目からウロコが落ちるような感覚。ぜひ多くの方に聴いて頂きたかった」と熱のこもった口調で語りかけました。
そして古楽器というと分かりづらいけれど、ストラディバリウスなど世界的名手が使用する楽器のほとんどは、バロック時代に造られたもの。実はなじみのあるものなのだと解説いただきました。現代でよく使われる「モダン楽器」は、古楽器を改造したものが多いというのです。ほか、現在スタンダードなヴァイオリンについている顎あてが古楽器にはなく、オノフリ氏は独特の構えをするのだと、視覚的なみどころも教えていただきました。
今回の演奏会でオノフリ氏は、曲と時代背景に合わせ3本の弓を使い分けています。
常人には分からないほどの違いですが、素材や微妙な形状の違いにより、当時演奏されていた音のニュアンスを再現しているのです。
17世紀初頭、1630年ごろに使われていた「バロック弓(Bow)」で演奏していたのは前半2曲。一音目で一気に会場を引き込んだ、B・マリーニの「二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ“ラ・モニカ”op.13」、そしてG.A.パンドルフィ・メアッリ「ヴァイオリン・ソナタ“ラ・チェスタ”op.3-2」。静かなメロディの奥に隠した熱情が迸っているような演奏で、波乱万丈の生涯を送った作曲者の意図を深く理解している様子がうかがえました。
17世紀末モデルの「スタンダードイタリアン弓」で演奏したのは3~6曲目。A.カルダーラの「二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ(トリオ・ソナタ)ニ短調op.2-1」、
F.M.ヴェラチーニ「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調op.2-8(ソナテ・アカデミーケop.2より第8番)」、G.Fヘンデルの「トリオ・ソナタ ト短調op.2より第6番HWV391」そしてJ.S.バッハの「無伴奏パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004より“シャコンヌ”」の4曲です。
いずれの曲においてもオノフリ氏の卓越した技巧にくぎ付けになり、高く華やかに歌い上げるような旋律が印象的だったのではないでしょうか。特に独奏の“シャコンヌ”は、オノフリ氏とヴァイオリンから発せられる他を圧倒するようなオーラが、ホールに特別な空間を生み出していました。
三本目は現在多くの人が使用する「クラシカル弓」。演奏会の最後を飾ったモーツァルトの「ヴァイオリンと鍵盤楽器のためのソナタ ハ長調K.296」で使われました。もともとピアノのために作られたこの曲では、それまで穏やかな音色でヴァイオリンを支えていたチェンバロが表に立ちます。一音一音が花開くように、軽やかに紡がれるチェンバロの旋律は、モーツァルトの明るくてファンタジックなメロディにぴったり。チェンバロの魅力を存分に伝える一曲でした。
また、このチェンバロは日本のチェンバロ製作者・安達正浩氏が手掛けたものです。響板のデザインは宇治川の太鼓橋と藤を描いた屏風をもとにしており、各部の装飾は仏師が手掛けています。西洋と日本の古い時代の美が見事にとけあった名器が、舞台に華を添えていました。
アンコールはハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバーの「技巧的で楽しい合奏音楽」とF・ボンポルティの「Invenzione ト短調 終楽章」。特に1曲目では題名の通り、オノフリ氏と杉田氏の師弟が激しく競い合うように演奏され、演奏後にがしっと手を握り合う様子はとても気持ちの良いものでした。
公演後はロビーにて抽選会と交流会が行われ、皆様興奮も醒めやらぬ様子で軽食やドリンクを片手に語り合っていました。オノフリ氏、ドーニ氏、杉田氏はサインにも気軽に応じ、ファンからの質問にも熱心に答えてくださいました。
次回、ALTI芸術劇場はVol.32 2016年11月19日「畑 儀文テノールリサイタル」です。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
文:鈴木茉耶
ご参加いただいた方々からのメッセージ
- 1~3人とコンパクトなのにダイナミックで驚きました。のびやかだったり力強かったり、自在に演奏され、感動しました。(20代 女性)
- 技術や奏法はもちろん、バロックヴァイオリンならではの素晴らしいあたたかな音色が聴けて、とても嬉しかったです(30代 女性)
- とても生命力にあふれる演奏で素晴らしかった(40代 男性)
- バロック音楽は教会音楽的なイメージを持っていましたが、その印象が変わりました。チェンバロとの相性も素敵でした。(40代 女性)
- オノフリさんのヴァイオリンは生きているようです。音が血の通った生き物のようでした。楽器じゃないみたいです。(50代 女性)
- 感無量!!(50代 男性)
- バロック音楽はあまり詳しくないので、CDを買おうにもこういう演目は選びづらいですが、演奏会で接すると良さに触れることができ、よかったです。(50代 男性)
- 前半は初めて聴く作曲者・曲で、新鮮でチャーミングで魅せられました。(60代 男性)
- 音楽学の先生によるプレトークをうかがっているうちにエンリコ・オノフリ氏の演奏を待つ心が高まってきました。チェンバロと古楽器の温かい、優しい音色、余韻まで心癒される演奏に幸せを感じました。(60代 女性)
- エンリコ・オノフリ氏の演奏がすごい。軽やかな音色と深い音楽への理解で見事な演奏。シャコンヌは絶品だった。(女性 70代以上)
公演ページ