舞台には良いメッセージが詰まっている
2013年8月31日(土)、2013年度ALTI芸術劇場のスタートとなります「ALTI芸術劇場vol.8」を開催いたしました。演目は加藤健一・加藤義宗両氏による二人芝居『モリー先生との火曜日』(加藤健一事務所vol.86)。軽快なテンポで展開する演劇は、ベストセラーとなったノンフィクション作品の魅力を余すことなく伝え、笑いと涙、そして哲学を客席に届けた、実に心温まる舞台でした。
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【切替】当日は超満員となりました
ミッチ役の加藤義宗氏のピアノ
【切替】難病ALSを患ったモリー先生(加藤健一)とミッチが再開するシーン
【切替】毎週火曜、モリー先生の最後の授業が始まります
物語のあらすじは作品紹介をご覧いただくとして、加藤健一氏扮するモリー先生と、加藤義宗氏演じるミッチのキャラクターがとても印象深く、舞台は冒頭からぐいぐいと引き込まれます。ひょうひょうとしていながらも情熱的でお茶目なモリー先生。野心的に活動するも、自尊心と現実に振り回されるミッチ。ミッチが引き出すモリー先生の言葉は、ミッチの青臭さがリアルに伝わってくるだけに、観る者の心に何をか訴えかけてきます。死や欲望、社会や家族といった深いテーマを、随所に散りばめられたユーモアとテンポの良い展開が温かく包み、観る者の心に心地良く届けてくれる――そんな舞台でした。
【切替】難病の進行が死というテーマを否応なく突き付けます
【切替】モリー先生の最期。赤く紅葉した木が物悲しくも美しいシーンです
【切替】終劇、カーテンコールの拍手はしばらく鳴り止みませんでした
【切替】公演終了後のアフタートーク
公演終了後間もなく、劇中でも披露されていた加藤義宗氏のピアノの生演奏コーナーが持たれ、ピアノを囲むファンの方々の嬉しそうな表情が印象に残りました。その後に開かれた加藤健一・義宗両氏によるアフタートークは参加者からの質問に答える形で、たくさんの質問と楽しい回答の応酬が聞けました。以下にその一部を掲載します。
- セリフの覚え方は?
- 加藤健一:朝から晩まで覚えます。ただ、ひたすら。人によっては、紙に書いてその紙を食べるなどの方法を採っている方もおられるようですが、僕はやりません(笑)
- 義宗さんは父親似? 母親似?
- 加藤義宗:父親似ですね。30年前の父を(写真や映像で)見るとそっくりで気持ち悪いくらいです。(参加者の方から「確かに声が似てる」)
- (加藤健一氏に対して)義宗さんのピアノにジェラシーはないか?
- 加藤健一:僕はギターを弾きます(笑) それはともかく、ピアノを弾きながら「歌う」のではなく、「セリフを話す」というのはとても難しいらしいです。
- テレビは出ないのか?
- 加藤健一:テレビは嫌いなんです(笑)。というのも、ただでさえニュースで殺人事件が報道されるのに、ドラマの中でもまた殺人が行われてる。それに対して、舞台は良いメッセージが詰まってます。良いメッセージしかないと言ってもいいくらい。
【切替】交流会でのワインを振る舞い。抽選会も行いました
【切替】交流会には加藤健一・義宗両氏も参加いただきました
加藤健一・義宗両氏には、アフタートーク後の交流会にもご参加いただきました。振る舞いのワインを片手に参加者の皆さまで談笑するその和やかな空気は、府民ホール・アルティでの「加藤健一・義宗両氏との土曜日」とでもいいましょうか、とにかく和気あいあいの楽しい時間となりました。
次回、ALTI芸術劇場vol.9はガラリと趣向を変え、20世紀の最も偉大な100人のピアニストの1人「ブルーノ=レオナルド・ゲルバー」を迎えてのピアノリサイタルをご用意いたします。ご興味ご関心のある皆さまのご参加を、心より、京都は中立売り御門前にてお待ちしております。