加藤健一事務所 『滝沢家の内乱』
インフォメーション
頑固一徹な馬琴に負けず、前向きに奮闘するお路の姿が多くの女性客の共感を呼び、風間杜夫と高畑淳子が声だけで流石の存在感を示したと話題になった、2011年の初演から4年。
数多くのお客様から再演熱望の声を頂き、あの笑って泣いて大忙しのカトケン版時代劇が、再び幕を開ける!!
公演名 | ALTI芸術劇場 Vol.23 加藤健一事務所 『滝沢家の内乱』 |
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日時 | 2015年8月22日(土) 15:00開演(14:30開場) |
会場 | 京都府立府民ホール アルティ |
作 | 吉永仁郎 |
演出 | 髙瀬久男(代行:加藤健一) |
出演 | 加藤健一、加藤 忍 声の出演:風間杜夫(友情出演)、高畑淳子(友情出演) |
公演当日のおもてなし | 公演後、加藤健一・加藤 忍氏によるアフタートーク及び素敵な景品が当るアンケート抽選会の開催を予定しております。 |
料金 |
【全席指定・税込】 ※当日500円UP ※未就学児の入場はご遠慮ください。 |
チケット取扱 | 京都府立府民ホール 075-441-1414 京都府立文化芸術会館 075-222-1046 チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:443-157) ローソンチケット 0570-000-777(Lコード:52424) |
チケット発売日 | アルティメイト優先発売 4月23日(木)10時より 一般発売 4月25日(土)10時より |
お問合せ | 京都府立府民ホール 075-441-1414 (9時~18時/第1・第3月曜日休館) |
主催 | 創 <(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体> |
ストーリー
文政十年。「南総里見八犬伝」執筆中の滝沢馬琴の、息子・宗伯のもとに嫁いできたお路。
高名な先生のお家と安心しきっていたが、そこはとんでもない家だった!!
一癖も二癖もある滝沢家の人々とのしっちゃかめっちゃかな毎日の中で、読み書きのできなかったお路が目を患った馬琴に文字を教わりながら「八犬伝」を脱稿へと導く―。
プロフィール
加藤健一
1949年 | 静岡県磐田市に生まれる。 |
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1968年 | 劇団俳優小劇場の養成所に入所。 |
1970年 | 養成所卒業後、つかこうへい事務所の作品に多数客演。 |
1980年 | 一人芝居「審判」上演のため加藤健一事務所を設立。 |
1982年 | 第17回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。(「審判」、つかこうへい事務所「蒲田行進曲」の演技に対して) |
1986年 | 加藤健一事務所俳優教室を開設。 |
1988年 | 昭和63年度文化庁芸術祭賞受賞。(「第二章」の演技に対して) |
1989年 | 文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。(「マイ・ファット・フレンド」、「ステイジ・ストラック」の演技に対して) |
1990年 | 平成2年度文化庁芸術祭賞受賞。(「セイムタイム・ネクストイヤー」の成果に対して) |
1991年 | 加藤健一事務所・江古田スタジオを開設。 |
1994年 | 平成6年度文化庁芸術祭賞受賞。(「審判」の演技に対して) 第29回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。(「パパ、I LOVE YOU!」、「審判」の演技に対して) |
1995年 | 第2回湯浅芳子賞受賞。(1994年の演劇活動の成果に対して) |
2001年 | 平成13年度文化庁芸術祭賞優秀賞受賞。(「すべて世は事も無し」の成果に対して) |
2002年 | 第9回読売演劇大賞優秀作品賞・優秀演出家賞受賞。(「すべて世は事も無し」に対して) |
2004年 | 第3回朝日舞台芸術賞受賞。(「木の皿」、「詩人の恋」の成果に対して) 第11回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。(「木の皿」、「詩人の恋」の演技に対して) 第11回読売演劇大賞優秀作品賞・選考委員特別賞受賞。(「詩人の恋」に対して) 平成15年度文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。(「木の皿」、「詩人の恋」の成果に対して) |
2007年 | 平成19年秋 紫綬褒章受章 |
2011年 | 加藤健一プロデュース100本記念公演「滝沢家の内乱」を上演。 |
2013年 | 4月、第38回菊田一夫演劇賞受賞。(「バカのカベ~フランス風~」のフランソワ、「八月のラブソング」のロディオン・ニコラエヴィッチの役の演技に対して) |
2014年 | 3月、「あとにさきだつうたかたの」を下北沢・本多劇場にて上演。 6月、「請願 ~核なき世界~」を下北沢・本多劇場にて上演。(加藤健一・三田和代 2人芝居) 8月、「If I Were You ~こっちの身にもなってよ!~」を下北沢・本多劇場にて上演。 11月、「ブロードウェイから45秒」を紀伊國屋サザンシアターにて上演。 |
2015年 | 2月、加藤健一事務所35周年記念公演・シェイクスピア作品「ペリクリーズ」を下北沢・本多劇場にて上演。 4月、「バカのカベ~フランス風~」を下北沢・本多劇場にて再演。(加藤健一、風間杜夫共演) |
加藤忍
・第39回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。また、’07に・舞台「コミック・ポテンシャル」の再演で
・第62回文化庁芸術祭新人賞(演劇部門)を受賞。・07年度岡山市民劇場賞受賞。
◎自主企画・一人芝居
「花いちもんめ」では好評を得る。
◎NHK海外ドラマ「トンイ」では、(トンイ役)ハン・ヒョジュの声を勤める。
【映画】
「星の国から孫ふたり」
「少女の夢」
2009「弁天通りの人々」アルゴピクチャーズ
【テレビドラマ】
2012 TX 「鉄道警察官 清村公三郎7」
2009 TX 「刑事一代」
2008 NHK 土曜時代劇「オトコマエ」
2008 TBS 「水戸黄門 38部 20話」
2004 CX 「愛の劇場 コスメの魔法
1999 TX 「永遠のアトム」
【吹き替え】
PROMISE無極(チンチャン王妃)
LOVING OU(チン・ダレ)
エイリアス(レイチエル・ギブソン)
ER XIII 緊急救命室(メイ・リー)
ミス・マーブル3(ヘスター)
ミディアム5霊能者アンソン・ヂュポア(ブルック・ホイト)
名探偵ポワロ 死との約束(ジニー・ポイントン)
ブーリン家の姉妹(メアリー・ブーリン/スカーレット・ヨハンソン)
ディープアンダーカバー(ベッキー/エマニュエル・シュリーキー)
トンイ(トンイ/ハン・ヒュジュ)
ただ君だけ(ハ・ジョンファ/ハン・ヒュジュ)
ダイハード/ラストデイ(イリーナ/ユーリヤ・スニギル)
王になった男(王妃/ハン・ヒュジュ)
【舞台】
2015 「滝沢家の内乱」本多劇場
2015 「バカのカベ〜フランス風〜」本多劇場
2014 「ブロードウェイから45秒」紀伊國屋サザンシアター
2014「If I Were You ~こっちの身にもなってよ!~」本多劇場
2014 「女たちのジハード」(劇団朋友)
2014 「あとにさきだつうたかたの」本多劇場
2013 「Be My Baby~いとしのベイビー~」演出/鵜山仁
2012 「バカのカベ~フランス風~」演出/鵜山仁
2011「滝沢家の内乱」演出/髙瀬久男
コラボレーション
ヒーロー
エキスポ
松ヶ浦ゴドー戒
私はラッパポートじゃないよ
カッコーの巣の上を
千人のピエロ
銀幕の向うに
煙が目にしみる
ラン・フォー・ユア・ワイフ
バッファローの月
ギャンブラー
木の皿
コミック・ポテンシャル(2007)
(その他の公演)
OUR COUNTRY’S GOOD~我らが祖国のために~
サマーハウスの夢(俳優座劇場プロデュース)
ブルーストッキングの女たち(地人会)
花いちもんめ(自主プロデュース)
椿版 天保十二年のシェイクスピア(椿組)
おしるし(プリエール)
女たちのジハード(劇団朋友)
2014 「女たちのジハード」(劇団朋友)
公演レポート
ALTI芸術劇場 Vol.23
加藤健一事務所『滝沢家の内乱』
2015年8月22日(土)、日射しは雲に遮られながらも、収まったかに思われた暑さの戻る8月中旬、ALTI芸術劇場vol.23加藤健一事務所『滝沢家の内乱』が公演されました。今回は、数多く寄せられた熱望の声に応えて、2011年の初演から4年ぶりの再演です。
開演前、これから展開される劇に高まる期待。精密に計算され創られた舞台装置は、その期待を呼び寄せる理由の1つ。小道具から、屋根まで入れた大胆な家屋の断面、配置や色彩により、この家に住む家族の、平穏無事でない様子が予感される見事なつくり。そして、いよいよ開演です。物語が進むにつれ、衣装・メイクに至るまで、随所に光る視覚的に生かされた効果が、虚構のリアリティをしっかりと支えているのがわかります。
今回は、加藤健一事務所の公演としては珍しく、江戸時代を舞台にした時代劇。しかし、テーマの根底にある家族の問題は時代を超えて普遍的なもの。馬琴とお路の各々のキャラクターを際立たせた上で、お互いの交流から芽生える変化を巧みに演出し、物語の世界へと誘います。アフタートークで加藤健一氏が、「老年=スローテンポ、これをそのまま描いたのでは、劇が沈んでしまう、老年を意識しながらどうテンポを持っていくかが難しいところ」と語っておられましたが、若いお路と老年の馬琴のやりとりは、そんな難問を意識させない絶妙な間合いとテンポで、観客を魅了します。姿を見せず声だけの出演である、馬琴の妻お百(高畑 淳子)と息子の宗伯(風間 杜夫)との掛け合いでも、たった一言返事だけで客席を湧かせる、加藤健一氏の光る技量。「声を聞かせるのが芝居」という加藤氏の哲学がここにも生きています。
休憩を挿んで後半の幕開けとともに、息を飲むお路の姿。娘時代からなんという別人にという驚きの変化。成熟したお路に見とれながら、物語も、視力の衰えた馬琴と、代筆を申し出るお路とのクライマックスへ。ぶつかりあいながらも、お互いの信頼に支えられた、正直ゆえのユーモアが、劇中に素敵なエッセンスとしてちりばめられています。馬琴とお路、世代を越え、性別を超え交流する二人の心情の底に見える、お互いへの「信頼」。「もう夢の中に逃げ込むことはしない」馬琴の最期の短いセリフに、二人の軌跡が込められています。終演とともに、鳴り響いた熱烈な拍手、2回のカーテンコールに応えてくれたお二人。「また6月にお会いしましょう」の挨拶とともに舞台を後にされました。
終演後は、会場ロビーにて、観劇の興奮さめやらぬ熱気に包まれたお客様からの質問も交え、加藤 健一氏、加藤 忍氏によるアフタートークが行われました。アフタートークに前後して、ALTI芸術劇場のおもてなしのひとつ、アンケート抽選会も行われ、次々と「おめでとうございます」の当選のかけ声が。豪華景品を当てられ、笑顔のお客様。さらに、アフタートーク後には、お二人との交流会も。パンフレットにサインをしていただきながら、古くからの友人と大好きな演劇の話に講じているかのように、親しくお話をされるお客様の明るい話し声。劇中の俳優としてのみならず、お客様との距離感も絶妙な、お二人の温かいお心が感じられる交流会で幕を閉じた、ALTI芸術劇場vol.23でした。
アフタートーク 加藤 健一氏のお話
- 30歳の時に始めてから35年間、プロデュース作品100作目の記念として、記念になる日本のものをやりたいと思い、今回の作者 吉永仁郎さんの作品を全部読み、この作品に心惹かれ上演を決めました。
- 翻訳劇と日本語劇との違いを感じるかというと、それはあまりありません。国の差よりも、同じ国内の出来事であっても、むしろ時代の差の方が、理解するのに難しさを感じます。
- 演出をされていた高瀬久男さんが享年57歳の若さでお亡くなりになられてしまい、急遽私が演出することになりました。自分が出演しながら演出するのは難しく、代わりの俳優さんに演じてもらい演出をつけるという方法をとったりいたしました。また、自分をよく見せることにあまり長けていないので自然とお路をよく見せるように演出しがちになりましたね(笑)。
- ALTIホールは演技がしやすい大きさのホールですね。観客に演者の息を吸う音を聞かせられる。声を聞かせるのが芝居だと思っているので、小さい音から大きい音まで幅広く聞かせることができる、つまり幅広い表現が可能ということで、とてもありがたいです。
- 屋根に登るシーンは、すごく怖いです…あれ本当に怖い(苦笑)
- 声をどう聞かせるかは、劇場との闘い、相手役との闘い、お客さんとの闘いです。これを公演ごと、毎日やる。セリフは同じでも、呼吸は毎日かわるので、毎日変わってくるのです。だから演劇は同じ劇でも毎回違って、毎回楽しめるのです。是非何度でも足をお運びください(笑)。
アフタートーク 加藤 忍氏のお話
- 劇中の着物の着替えは、いろんな工夫がしてあり、だいたい30秒以内におこなっていました。屋根のシーンなどは、着物なので転ぶと怖いなあと思いながら、今もやっています。
- 加藤健一事務所の演技学校の9期生なのです。最初は緊張の連続でしたが、最近では、「いいおばちゃんになったね!」とお褒め(?)の言葉をいただき、微妙な気持ちではありますが、嬉しく受け止めております(笑)。
- 若い時から、晩年までの変化は、ひとえに衣装さんとメイクさんのおかげです。衣装さんは、杉村春子さんの衣装を担当されていた方で、いろいろとお世話になり感謝しております!
次回、ALTI芸術劇場vol.24は、室内楽の極み 弦楽四重奏団の最高峰、京都アルティ弦楽四重奏団によるブラームスとベートヴェンの弦楽四重奏です。開催日は2015年10月10日(土)。皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
撮影:福家 さやか
ご参加いただいた方々からのメッセージ
- 本作のいう「内乱」に思い至るふしがあり、考えさせられました。笑いあり感動ありの劇でした。ありがとうございます。 (20代 男性)
- 最初は気難しい馬琴だと思ったけれど、お路さんが加わったことで人間味あふれる人に変わったところがすてきでした。アフタートークにいすが用意されて良かった。(30代 女性)
- 客席との距離間などいいホールですね。久しぶりの加藤健一事務所のお芝居、とてもおもしろかったです。(40代 男性)
- 所作もすばらしく、見とれるうちに時間があっという間にすぎました。いろいろな気付きを得ることができました。これからじっくり余韻にひたりたいと思います。夢で出てくることを期待します。(40代 男性)
- 家庭のきりもり!?責任、私自身嫁で、なんだかとても身にしみました。社会でもなにかと家族間の事件が目立つ最近です。時に合ったお芝居を見たと思いました。(40代 女性)
- 加藤健一事務所の公演は、東京へ行くことが多いのですが、今回京都で、しかも15時というのがうれしいです。岐阜からだと日帰りできます。特に加藤忍さんのファンです。今回を機会に、アルティメイトになりました。よろしくお願いします。(50代 女性)
- 家長の立場、嫁の立場をユーモラスにしみじみと見せて頂きました。初演で印象に残っている所、忘れていた所、あざやかに甦りました。お二人の見事なお芝居に大満足です。(60代 男性)
- 馬琴先生の苦悩がよくわかります。でも、耐えている姿が何ともコミカル。今の世の中耐える人が少なくなりました。爆発した後は、家を守る為に「キューキュー」として人間を忘れかけている馬琴と、普通の明るいお路さん…対比がうまくできていて、だんだん普通らしくなる先生が素敵でした。お路さんの変貌もよし!(60代 女性)
- なつかしい思いのする加藤健一事務所の公演は、欠かした事はありません。待ち遠しい気持ちで楽しみにしております。どんな舞台も分かり易くて、カトケンさんの舞台は心がやすまります。(70代 女性)
- 物語の展開が2人芝居よりずっと深いイメージが豊かに広がり、楽しく感じられる。(70代 男性)