チェロアンサンブルの愉しみ
トップチェリストによる珠玉のアンサンブル
インフォメーション
日本が誇るトップチェリスト5 名によるアンサンブルをお楽しみください。
公演名 | ALTI芸術劇場 Vol.26 チェロアンサンブルの愉しみ |
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日時 | 2016年2月20日(土) 14:00開演(13:30開場) |
会場 | 京都府立府民ホール アルティ |
出演 | 上森祥平、上村 昇、河野文昭、林 裕、藤森亮一 |
プログラム | クレンゲル:即興曲 Op.30 ワーグナー:「ローエングリン」第2 幕より、「エルザの大聖堂への行進」 ポッパー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」による即興曲 フンパーディンク:「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲 ほか ※都合により曲目や演奏順等が変更になる場合がございます。 |
料金 |
【全席指定・税込】 ※プレミアム席は、音響的・視覚的に優れたお席です。 |
チケット取扱 | 京都府立府民ホール 075-441-1414 京都府立文化芸術会館 075-222-1046 チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:278-871) ローソンチケット 0570-000-777(Lコード:53504) |
チケット発売日 | アルティメイト優先発売 11月12日(木)10時より 一般発売 11月14日(土)10時より |
お問合せ | 京都府立府民ホール 075-441-1414 (9時~18時/第1・第3月曜日休館) |
主催 | 京都府・創 <(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体> 【京都府舞台芸術振興・次世代体験推進事業】 |
助成 | 公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション【alti classic s election】 |
プロフィール
上森 祥平
Shohei UWAMORI
1997年第66回日本音楽コンクール第1 位入賞、併せて松下賞受賞。
2003 年京都市芸術文化特別奨励者に選ばれる。ドイツ国家演奏家資格取得。2012 年第30 回京都府文化賞奨励賞受賞。
現在東京藝術大学、京都市立芸術大学非常勤講師。
上村 昇
Noboru KAMIMURA
1977 年第46 回日本音楽コンクール第1 位。第6 回カサド国際チェロ・コンクール優勝。1983年第1回京都府文化賞新人賞受賞。2001年第 19 回京都府文化賞功労賞受賞。現在、京都市立芸術大学教授、桐朋学園大学特任教授。「京都アルティ弦楽四重奏団」チェリスト。
河野 文昭
Fumiaki KONO
1981 年第50 回日本音楽コンクール第1 位、1990 年京都音楽賞、1992年大阪府文化祭賞、2004 年第22 回京都府文化賞功労賞等を受賞。「紀尾井シンフォニエッタ東京」、「岡山潔弦楽四重奏団」メンバー。現在、東京藝術大学教授。
林 裕
Yutaka HAYASHI
1993年 第62 回日本音楽コンクール第1 位、黒柳賞を受賞。青山音楽賞、松方ホール音楽賞大賞、大阪文化祭賞グランプリ、文化庁芸術祭優秀賞等を受賞。「いずみシンフォニエッタ」メンバー。現在、相愛大学准教授、神戸女学院非常勤講師。
藤森 亮一
Ryoichi FUJIMORI
1983 年第52 回日本音楽コンクール第1位、2008 年第26 回京都府文化賞功労賞、「モルゴーア・クァルテット」として1998 年村松賞、2010 年アリオン賞受賞。1987年NHK 交響楽団入団、現在首席奏者を務める。
公演レポート
ALTI芸術劇場 Vol.26
チェロアンサンブルの愉しみ
二十四節季の雨水(うすい:雪が雨に変わり、氷が融けて水になる)を迎え、そぼ降る雨にしっとりと輝く樹々に心潤う2月20日 (土)、ALTI芸術劇場2015年度のラストを飾る、「チェロアンサンブルの愉しみ」が開催されました。呈茶サービス(プレミアム席限定)のお茶室に続くお庭は雨に濡れ光り、陽に照らされたお庭とは違う味わいが醸し出されています。
呈茶でお召し上がりいただいた季節の生菓子は、貝合せや、お吸い物など、雛祭りにちなんだ「蛤形」。1850年代安政年間から続くお菓子です。こちらは、今回のコンサートのキーワードである「ワーグナー(1832年〜1883年)」が生きていた時代でもあります。参加された方々は、時空を超えた芸術の在り方に日常の喧噪を忘れ、これから始まる演奏へ心馳せる贅沢なひとときを楽しまれていたようです。
満員のお客様の熱気に包まれる中、いよいよ開演。河野文昭氏、上森祥平氏、藤森亮一氏の3名による、ハイドン作曲(河野文昭編曲)の「バリトン三重奏曲第101番 ハ長調」で幕開けです。1982年にスタートして以来、30年以上続いている本企画。5人での演奏は今回で13回目にあたります。苦労するとおっしゃいながらも、様々な視点で毎回楽しませてくれる河野氏のプログラミング。今回の構成は「ワーグナー」がキーワード。また、ロマン派以前とロマン派にも配慮し、まず1曲目はロマン派以前である、ハイドンの楽曲で始りました。昼下がりのゆったりとした時間にぴったりの軽やかな響き。そして、3人のかけあいの妙。3者3様のチェロの優しい音色で紡がれた第3楽章のフーガが印象に残ります。
河野氏による楽曲についてのわかりやすく楽しいトークをはさみながら、2曲目は上村昇氏、林裕氏が加わり5名揃ってのシューマン作曲(河野文昭編曲)の「BACHの名によるフーガ ハ短調 Op.60-3」。3曲目は林氏、河野氏、上森氏、上村氏4名による、ブラームス作曲(林 裕編曲)の「間奏曲イ長調 Op.118-2」、前半最後の4曲目は、上村氏、上森氏、林氏、藤森氏による、クレンゲルの「即興曲ハ長調 Op.30」。各チェロの響きの違いをいかしながら、それぞれが楽しそうにのびのびと弾いている姿に、次第に心がほどかれていくのを感じます。
休憩時間をはさんで、いよいよ後半ワーグナーの登場です。上森氏、上村氏、林氏、藤森氏4名による5曲目は、ワーグナー作曲(F.グリュツマッヒャー編曲)の歌劇「ローエングリン」第2幕より“エルザの大聖堂への入場”。ドラマチックな旋律と響き、そして低音の美しさ。前半とは全くの別世界に誘われます。演奏に続いて客席を沸かせたのは、河野氏による出演者インタビュー。林氏はご自身がポッパーの作品のコンクールを主催されていることもあり、ポッパーの興味深いお話を、藤森氏は所属されているNHK交響楽団とワーグナーのチェロパートの音譜の多さについて、上森氏は留学先のドイツでのドイツ人とワーグナーの関係について、上村氏は恩師黒沼俊夫先生の、言葉ではなく音で教えるということについて、それぞれ興味深く語ってくださいました。
お客様との距離もぐっと縮んだ後は、5名による6曲目、ポッパー作曲(山口真希子編曲)のワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」による即興曲の演奏。ドラマチックでありながら、チェロ独特の優しく美しい響きがALTIに響き渡ります。最後、5名による7曲目はフンパーディンク作曲(ニーフィント編曲)の歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲。チェロの音色の美しさ、ドラマのある展開、そして何より、アンサンブルで弾く楽しさや美しさが乾いた心に潤いをもたらすようなすばらしい演奏です。それはまるで今日の雨が乾いた庭を光らせたように。
演奏後鳴り止まぬ拍手に応えて、3曲のアンコールを披露してくれたチェロアンサンブルの5名。後半の「ワーグナー」の流れをくんで、ワグネリアンであるフランクの曲、ワーグナーの有名な作品マイスタージンガーを3拍子に仕立てたドレスラーの作品、そして、ワーグナーのタンホイザーより「夕星の歌」と、盛りだくさん。特に最後の「夕星の歌」での圧巻は、5台のチェロでこそ表現されうる音色の静けさです。アンコール演奏ではなくプログラム演奏であるかのように素晴らしく息のあった演奏で、お客様を最後の最後まで魅了してやみませんでした。
アンコール曲
◯ 「天使のパン」(C.フランク作曲)
◯ 「マイスタージンガー スケルツォ」(F.ドレスラー作曲)
◯ 「タンホイザーより『夕星の歌』」(R.ワーグナー作曲)
終演後は演奏者の皆様との交流会が開催され、ここでしか聞けないお話を聞かせていただく貴重な機会となりました。河野氏の、選曲から始まるチェロアンサンブルにかける情熱、アルティと5人の相性の良さ、上森さんの「チェロアンサンブルの皆様と過ごす数日のうちに、音がどんどん変化していく楽しさ」について、お客様からの教授法についての質問への、上村氏の「その人の成長と発見を待つこと。自分の色に染めないこと」との答えや、藤森氏の、5人で弾くことのいきいきとした心の喜びについてのお話など、今日の演奏がどういう土壌の元で醸成されているのか、その一端を垣間見ながら、温もりある余韻にひたれる素敵なひとときで2015年度のチェロアンサンブルの幕が閉じました。
次回のALTI芸術劇場vol.27は、数多くのお客様からのスタンディングオベーションで幕を閉じた、イタリアの若き巨匠クリスチャン・レオッタ氏による、「ベートーヴェン『ピアノソナタ』全曲演奏会 2nd stage」です。開催日は2016年4月29日(金・祝)、5月5日(木・祝)、5月8日(日)、5月12日(木)、5月15日(日)。皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
撮影:福家 さやか
※NHKによる収録の放送予定
テレビ:BSプレミアム「クラシック倶楽部」(3月31日午前5時~5時55分(変更の可能性あり))
FMラジオ:「ベストオブクラシック」(放送日未定・5月中を予定 午後7時30分~9時10分)
ご参加いただいた方々からのメッセージ
- きれいな音色だった。5だいのチェロのひびきがみりょく。(10代未満 女性)
- 普段はなかなかチェロだけのアンサンブルはきけないからそこが魅力だと思う。(10代 女性)
- 普段なかなか聞くことの出来ないチェロだけのアンサンブルを、日本を代表するチェリストの方々の演奏で聴くことが出来てとても嬉しい。(20代 男性)
- ストーリー性のある演目が、説明も含めてよかったと思います。(30代 女性)
- 京都ゆかりのチェリストによる至高の響き。音色の美しさに感激します。(40代 男性)
- 作曲家と曲、時代背景など、いろいろ関連付けた構成で興味深かった。(50代 女性)
- 毎回5人のメンバーにお会いできるのを楽しみにしています。5人だからこそ表現できる、独特のやさしい音色があります。メンバー間の信頼、尊敬の心が音に出て来るのだと思います。(50代 女性)
- 演奏者が、バッハやドヴォコン(ドヴォルザークのチェロ協奏曲)を奏する時ではなく、アンコールで白鳥や鳥の歌を奏するような、ゆったりとした気分でアンサンブルを自らが「愉しみ」にしているように感じて、聴く方にもそんな楽しさが伝わってくる。(60代 男性)
- 作曲家と曲、時代背景など、いろいろ関連付けた構成で興味深かった。(50代 女性)
- チェロアンサンブルの企画そのものが素晴らしいと思っています。(60代 女性)
- 今日は雨で全体がうるおっていました。心も体も。プレミアム席の呈茶サービスもすばらしくて、ひなまつりの気分を味わいました。演奏もすばらしくて、又次回もぜひ参加したくおもいました。(70代 女性)
- 毎回、編曲された曲を演奏者が紹介されていますが、大変なエネルギーが要ることと思います。音合わせを何回位されているのかわかりませんが、素晴らしい演奏となって、楽しませていただいています。(70代 男性)