ALTI芸術劇場 Vol.32

畑 儀文テノールリサイタル 

日本における最高のドイツリート シューベルト「美しき水車小屋の娘」

2016年11月19日(土)

インフォメーション

日本における最高のドイツリート!畑儀文氏が、シューベルト三大歌曲集のひとつ「美しき水車小屋の娘」をお届けします。

公演名

畑儀文テノールリサイタル シューベルト「美しき水車小屋の娘」

日時

2016年11月19日(土)15:00開演(14:00開場)

会場 京都府立府民ホール アルティ
出演

畑 儀文(テノール)・マルッティ・ラウティオ(ピアノ)

プログラム シューベルト「美しき水車小屋の娘」
公演当日のおもてなし 14:00 開場

14:20 公演への誘い(プレトーク)

           トークゲスト:白石知雄(音楽評論家)

15:00 本公演

終演後 交流会(出演者も参加予定)

料金

【全席指定・税込】
一般前売:4,000円(アルティメイト優待価格:3,500円)
学生前売:2,500円(アルティメイト優待価格:2,000円)
アルティメイト会員詳細へ
※当日500円UP

※未就学児の入場はご遠慮ください。

チケット取扱 京都府立府民ホール  075-441-1414
京都府立文化芸術会館  075-222-1046
チケットぴあ  0570-02-9999(Pコード:302-195)
ローソンチケット  0570-000-777(Lコード:52118)
チケット発売日 アルティメイト優先発売  7月9日(土)10:00~
一般発売 7月12日(火)10:00~
お問合せ 京都府立府民ホール  075-441-1414
(9時~18時/第1・第3月曜日休館)
主催 創 <(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体>
助成 公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション

 

進々堂×京都府立府民ホール”アルティ”パン屋とホールの幸せマリアージュ♪

進々堂メンバーズカードでスタンプをためると、進々堂での特典に加え、本公演チケットも割引になります!

割引期間:9月5日(月)~11月19日(土)

スタンプ60ヶ: 600円引き
スタンプ120ヶ:1800円引き

※本特典をご利用の際は必ずホール窓口で公演チケットをお求めください。
 スタンプ捺印後、カードはご返却します。その後進々堂での特典もご利用できます。
※割引適用公演は、11月19日「畑儀文テノールリサイタル」に限ります。

プロフィール

儀文 Yoshifumi Hata(テノール)83e83m815b838b81f94a8208bv95b6

兵庫県篠山市生まれ。大阪音楽大学大学院修了。1979年大阪にて、小林道夫氏の伴奏による初リサイタルを行う。以後テノールソリストとして、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団ホルン奏者ペーター・ダム氏との共演、イエルク・デームス氏の伴奏による数多くのリサイタル等で大きな成果をおさめた。1991年オランダ・アムステルダムにおいて、バロック歌手として高名なマックス・ファン・エグモント氏のもとで研鑽を積む。以後オランダ各地において、受難週には、エヴァンゲリストとして招かれ、近年はドイツ・ライプツイヒにおいてバッハ作品のソロを務める。また1993年~1999年にかけて、シューベルト歌曲全曲演奏を成し遂げ、国内外で話題を集めた。日本コロムビアからCD「日本のうた」「新しい日本のうた」「トスティ歌曲集」「昭和のうた」「美しき水車小屋の娘」をリリースし、その天性の歌声はジャンルを問わず心に響く感動を呼び、注目を集めている。「大阪文化祭本賞」「咲くやこの花賞」「大阪府民劇場賞」「坂井時忠音楽賞」「兵庫県芸術奨励賞」「兵庫県文化賞」等多数の賞を受賞。丹波の森国際音楽祭シューベルティアーデたんば音楽監督、関西フィルハーモニー合唱団コア・マイスター。

 

マルッティ・ラウティオ Martti Rautio(ピアノ)83s83a83m81f837d838b83b83e83b81e838983e83e83b83i 

シベリウス音楽院で舘野泉に師事。コンサート歴は30年で、現在では毎年約40回のコンサートを開催している。欧州や日本など各国でコンサートツアーを行い、フィンランドではラジオ・シンフォニー・オーケストラ、ヘルシンキ・フィルハーモニー・オーケストラ、タピオラ・シンフォニエッタなどの楽団で演奏している。現代音楽にも積極的に取り組み、エイナル・エングルンドやエイノユハニ・ラウタヴァーラなどから提供された曲の初演奏を行っている。主にフィンランディア、フーガ、フェスティーヴォのレーベルで、CDやラジオ放送の収録に数回参加している。キミト島ミュージック・フェスティバルのアートディレクター、シベリウス音楽院の室内楽講師。

公演レポート

ALTI芸術劇場 Vol.32

畑 儀文テノールリサイタル 

2016年11月19日、吹く風が冷たく感じられるようになったこの日に、ALTI芸術劇場Vol.32 「畑儀文テノールリサイタル シューベルト『美しき水車小屋の娘』」が催されました。当日は色づき始めた紅葉で鮮やかさを増したお庭も公開され、訪れた方々の目を楽しませていました。

プレトークにご登壇いただいたのは、音楽評論家の白石知雄氏。
「美しき水車小屋の娘」はシューベルトが20代半ば、若き青年期に作曲したものだと前置きした上で、作曲家シューベルトという人物像からこの歌曲を読み解くという、大変興味深いトークを展開されました。
 シューベルトは生涯、フリーの音楽家として生きた人です。同じフリーでも音楽一家に生まれたモーツァルトやベートーヴェンと違い、後ろ盾のない音楽家の前にあったのはいばらの道でした。「美しき水車小屋の娘」の主人公である粉ひき職人の男の希望と苦悩は、自らの腕一本で生きていこうとするシューベルトが味わったそれなのではないかと分析されていました。シューベルトの音楽活動を支えたのは同年代の友人たちで、等身大の悩みを歌った歌曲が共感を呼び、シューベルトの評価を押し上げます。さらに彼の曲を披露していたのは当時すでに引退していたオペラ歌手・フォーゲルと言われており、「歌手が役を演じる」という歌曲とオペラの融合を見せたことが歌により説得力を与えていたのではと解説されていました。

「美しき水車小屋の娘」は、「夢」「希望」「未来」といったキーワードがぴったりの、生命の躍動を感じさせる第1曲から幕を開けます。中盤に至るまでは仕事の厳しさに直面しつつも、娘への恋心が青年の心を彩り、きらめくような日々の中で大人になっていく様子が見えてきます。しかしその純粋さゆえ、恋の苦しみやライバル登場による混乱は青年を絶望へと追いやっていく―その人格と心の動きを、畑氏が透明感溢れる歌声で紡いでいきます。歌い手とピアノだけのシンプルな舞台の上に、水車小屋の建つ草原と優しく流れる小川の風景が見えるよう。最終曲「小川の子守歌」では、青年から小川へと役柄が見事に変化しており、畑氏の表現力の豊かさに来場者は惜しみない拍手を贈っていました。

アンコールは「落葉松」。生きる中で味わう切なさ、辛ささえ大きな愛情で包み込むような渋みある深い歌声が会場に沁みわたりました。「水車小屋の娘」で披露した若さあふれる青年の声とは対照的に、大人の男の色気すら感じられ、体が震えるような感覚を覚えた方も多かったのではないでしょうか。

30年近く、この「美しき水車小屋の娘」を歌ってきたという畑氏。公演後、歌い手の目線から見たこの歌曲についてお話を伺いました。
「大曲ですね。溌剌としたシーンと沈痛なシーンがあるので、声の使い分けが大変でした。作詞したミュラーも作曲したシューベルトも20代のころの歌を、60代の私が歌えるのかという不安もあります」と畑氏は笑います。「ですが人として様々なことを経験した今になって、ようやく曲に寄り添って歌えるようになった気がしています。また、日本人が持つ深い優しさ、しなやかさを込めて歌うようになったのですが、これがシューベルトの持つ世界観によく合うのではと思っています」と、日本人歌手ならではの「美しき水車小屋の娘」へのアプローチを聞かせていただきました。

 

公演後に行われた抽選会、そしてドリンクや軽食がふるまわれた交流会は終始和やかなムード。ロビーに出てきた畑氏は「素晴らしかったです」と口々に感想を伝える観客に囲まれ、気さくに会話を楽しまれていました。

次回のALTI芸術劇場は来春、Vol.33 2017年3月31日「チェロアンサンブルの愉しみ」です。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

写真:河合裕子

文:鈴木茉耶

ご参加いただいた方々からのメッセージ

  • 初めてテノールリサイタルを聴かせていただきましたが、素敵な歌声に感動しました。詩が心に響きました。(20代・女性)
  • 一曲一曲心を込めて歌ってらっしゃるところ、曲の作り出す世界観が、言葉の意味を分かっていなくても伝わってくるようでした。高い音も低い音も美しい響きで、一曲一曲の曲に対する愛情を感じました。(30代・女性)
  • 畑先生の演奏を聴くと、ドイツ語はなんて響きが格好いい言語なんだと感じた。フォーグルはオペラ出身だったなど、プレトークも興味深かった。(40代・女性)
  • 涙が出ました。(男性・50代)
  • ただただすごいです。正確なドイツ語発音に明瞭な清潔感のある音程、そして高い芸術性を持った音楽。すばらしいです。(50代・女性)
  • ピアノ、ピアニッシモでの表現が素晴らしく、曲が進むにつれて会場がシンと静まり聞き耳を立てているのが分かった。特に最後の三曲は消え入るような声が圧巻。時間が止まるかと思いました。(50代・女性)
  • 畑さんの甘酸っぱいソフトな声が、曲にマッチして素晴らしかった。詩や曲に合わせた表現も大変巧みで、シューベルトの世界を堪能できた。(60代・男性)
  • 本当にオペラを見ているようで、感情の表現、やわらかに流れる声…素晴らしかったです。喜び、怒り、悲しみ、これほどの想いを感じることはありません。(60代・女性)
  • 「日本人の感性」で歌われていて、本当に良かったです。とりわけ最終曲に涙する感動を覚えました。また、伴奏者の柔軟・謙虚な演奏に深い感銘を抱きました。(70代以上・男性)
  • 日常から離れ、崇高な気分を味わわせて頂きました。(70代以上・女性)

 

公演ページ

畑 儀文テノールリサイタル シューベルト「美しき水車小屋の娘」

アルバム

ALTI芸術劇場vol32 畑儀文テノールリサイタル 公演日の様子

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