グレン・グールド、その人物を読み解くトリビュート
2012年11月7日・8日の二日間にわたり、「ALTI芸術劇場vol.3」を開催いたしました。両日ともお陰様で大盛況のうち無事に終了いたしました。ご来場いただいたお客様には大変感謝申し上げます。第3回は、「生誕80年・没後30年 グレン・グールド トリビュート」と題して、講演会、対談、記念演奏、映像上映を行い、多角的にグールドの功績を振り返った二日間でした。
会場入り口。秋色を覗かせるALTI
ホールにはグレン・グールドの写真を展示
映画「Glenn Gould Hereafter」からは、グレン・グールドの影響力と音楽に対して考え方あり方を見ることができ、「Glenn Gould's Toronto」では、彼自身の人生観を投影しつつその当時のトロントが語られました。「Glenn Gould Hereafter」は宮澤淳一氏の監修のもと、日本映像翻訳アカデミーの修了生11 名による字幕を付して、日本で初の劇場公開でした。また、「Glenn Gould's Toronto」は字幕付きでの本邦初上映でした。宮澤淳一氏の監修のもと、青山学院大学総合文化政策学部の実習授業「映像翻訳を通して世界と関わる」履修生7名(通称「映像翻訳ラボ」)が制作してくださいました。(協力:日本映像翻訳アカデミー)
イベント開始前からたくさん来場いただきました
モンサンジョン監督「Glenn Gould Hereafter」上映風景
ブリューノ・モンサンジョン氏の講演では、「Glenn Gould Hereafter」の撮影での裏話や、グールドの音楽に対しての想いを聞くことができました。中ではグールドのユーモアあふれる日常のエピソードにも触れられ、会場から笑い声が聞こえることもちらほら。二日目のラストには、お客様の質問に答える形のディスカッションも持たれ、グールドトリビュートに相応しい時間となりました。
ブリューノ・モンサンジョン氏の講演
中村孝義大阪音楽大学理事長の講演
宮澤淳一青山学院大学総合文化政策学部教授の講演
宮澤教授と浅田彰京都造形芸術大学大学院長との対談
中村孝義大阪音楽大学理事長の講演は「作品」と「演奏」の関係性、宮澤淳一青山学院大学総合文化政策学部教授の講演はグレン・グールドの軌跡を、それぞれ分かりやすく紹介した内容でした。浅田彰京都造形芸術大学大学院長との対談では、グレン・グールドの音楽への想いを聞くことができました。それぞれの講演・対談でメインテーマとされたのは、なぜグレン・グールドが「レコーディングによる音楽制作」を大切にしていたか、そして、なぜ「コンサートを辞めたか」というものでした。そこには、グールドのその当時斬新的で先進的な音楽に対しての情熱が込められていることを垣間見ることができました。
記念演奏より
左から、京都市立芸術大学の砂原悟准教授、野原みどり准教授、上野真准教授、阿部裕之教授
演奏曲目:「5 つの短いピアノ小品」(演奏者/上野氏)
「2つの小品」(演奏者/阿部氏)
「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(演奏者/砂原・野原氏)
イリーナ・メジューエワ講師演奏「ゴールドベルグ変奏曲」
記念演奏より「フーガを書いてごらんなさい」
左から、黒田恵美氏(ソプラノ)、武知朋子氏(ピアノ)、 小林久美子氏(メゾソプラノ)
山本康寛氏(テノール)、 萩原寛明氏(バリトン)
公演終了後の交流会
記念演奏では、ユーモラスな混声4部とピアノの「フーガを書いてごらんなさい」「ピアノ小品より」、ワーグナー作曲・グールド編曲「ニュルンベルグのマイスタージンガー」、バッハ作曲「ゴールドベルグ変奏曲」が演奏され、会場を魅了しました。アンコールでは、「フーガを書いてごらんなさい」の日本語訳詞(宮澤淳一氏訳)が演奏されました。
公演終了後の交流会にもたくさんのご参加をいただきました。ワインを片手に、ブリューノ・モンサンジョン氏、宮澤先生と本日の講演を振り返る、和やかな場になりました。