始動から31年。円熟のチェロが奏でた幅広い音と表現力。
2013年2月23(土)、「ALTI 芸術劇場 vol.6」を開催いたしました。2012年度の本企画最後のクラシック・コンサートとなる第六回は、「チェロアンサンブルの愉しみ」と題したチェロ〝だけ〟の演奏会。日本屈指のトップチェリスト五人が奏でる名曲の数々に、満席となった開場も大満足の二時間余りとなりました。
会場は満席となりました
会場入口傍に陳列された本シリーズの広報物一覧
本公演前のプレトーク「公演への誘い」では、音楽評論家の福本健氏をゲストに迎え、今年で 31 年目を数える本シリーズの歴史や、数少ないチェロのみのアンサンブルについて、また四百年に亘って筆記ルールに大きな変更のない五線譜をたとえに、演奏家たちが表現する譜面上に表しきれない音符の解釈にも耳を傾けるという音楽の愉しみ方を紹介いただきました。
リラックスしつつも演奏に対する厳しさがうかがえたゲネプロ
公演への誘いのゲストは音楽評論家・福本健氏
本公演は前後半の二部構成で、アンコールも含めて全十曲が演奏されました。前半は白鳥とバレエをテーマにサン=サーンスやチャイコフスキーの名曲が、後半はモーリス・ラヴェルの組曲「クープランの墓」を中心にしたステージでした。あまり再演はしない彼らですが、クープランの墓はファンの皆さまからの要望に応えての再演だとか。
曲によっては二人構成のときも
河野氏のMC。今回はメンバーの使う「弓」について
各曲の冒頭に河野氏の柔らかでアットホームなMCが入ります。前半最後の曲「ソータビレ・マーチ」では、中世の作曲家たちがプライベートな動機で作曲したことを引き合いに、同曲作曲者・福富秀夫氏が、氏のお孫さん(チェリスト上森氏のお子さんでもあります)に送った曲であることが紹介されました。偶然にも本公演当日に上森氏の二人目のお子さんがお生まれになったそうで、福富氏にもう一曲お願いしますとのジョークもこぼれました。
アンコールは客席からの撮影OK
「ソータビレ・マーチ」作曲の福富氏と握手する上森氏
上村昇、河野文昭の両氏の発案から 1982 年よりスタートした同シリーズは、現在の五名のメンバーになって 11 年目。巧みさに円熟味を加えたトップチェリストたちの演奏技術が、チェロアンサンブル向けに仕上げたアレンジの妙と、四オクターブの広い発音域を持つチェロという楽器の様々な表情を味あわせてくれました。
終演後の交流会にもたくさんのご参加いただきました
チェリスト五人全員が参加してくれました
本公演に引き続きたくさんのご参加をいただいた交流会は、チェリストたちを囲み、振る舞いのワインに舌鼓を打ちながら、みなさまでご歓談いただきました。
次回、ALTI芸術劇場vol.7は、アルティ・ダンスカンパニーによる第9回公演、ストラヴィンスキーの「春の祭典」「火の鳥~HAZAMA~」二本立てです。ご興味ご関心のある皆さまのご参加を、心より、京都は中立売り御門前にてお待ちしております。